天才的な結果は、小さな積み重ねと行動の継続の賜物

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一般社団法人成れる会理事の種村文孝です。

10月28日に京都大学のジュニアキャンパスがあり、
京都市内の中学生向けの講座を担当する機会がありました。

講座のタイトルは、
「天才の特徴 -どのように学んできたのか-」
という内容でした。

中学生向けの講義でしたが、
大人の方々にも参考になると思いますので、紹介させていただきます。

天才崇拝と天才バイアス

研究、スポーツ、芸術、料理、デザインなどなど、
あらゆる領域に優れたパフォーマンスを発揮する人がいます。

彼らの真似できないような結果、最高の作品、技の数々を見ると、
生まれながらの才能があったからこそできたものではないかと思わされます。

凡人には実現できない結果のようにも思えます。

しかし、
実際には、そのような最高のパフォーマンスも、
無数の小さなスキルと行動の積み重ねの結果であり、
継続的に正しく積み重ねたからこその結果です。

多くの人は、
最高のパフォーマンスに接した時、
どうしたらその人のようになれるかを考えないと言われています。

天才崇拝天才バイアスと呼ばれる思考が邪魔をします。

実は、
「天才だからできたんだ」
「天才はすごい」
と思うことによって、結果を出せない自分自身を正当化させているのです。

あの人は生まれながらの才能があったから結果を出せたんだ。
あの人だからできたんだ。
こんな結果は奇跡だ。
神がかった存在だ。
魔法のようだ。
信じられない。
天賦の才能があったからできたんだ。

自分には、才能がないから、無理だ。

そう思うことによって、引け目を感じなくなりますし、
現状に甘んじることができます。


マインドセットがすべて

その人が伸びるか、伸びないか。
どこまで到達できるかは、マインドセットがすべてです。

結果は、持って生まれた才能次第である。
学力は伸ばせないし、人は変わらない。
学んでも、努力してもどうせ無理。

そのような考え方(マインドセット)では、
学んでも、練習をしても、伸び悩みます。
成長の限界に達します。
常識の範囲内だったり、
自分が設定した壁を越えられないような結果になります。

最初から無理だと思って学びますし、
最初から変われるはずがないと思って練習しますから、
あまり力になれません。

一方で、
人は変われる、
人は成長する、
学力は伸ばせる、
学んだり、継続したりすれば、結果が変わる、
というような考え方(マインドセット)の人は、伸びます。

どうやったら伸びるか、
どうやったらさらに成長するかを考え、
工夫しながら学んでいくためです。

自分にはできる、
自分は高い目標を達成できると思って、
学んだり、練習することによって、
一歩一歩高みへと近づいていきます。

あたり前のことなのですが、
自分は変われないし、どうせ無理だと思って学ぶか、
自分は変われるし、どうやったらできるかと思って学ぶか、
その違いが大きな結果となって現れてきます。

最高のパフォーマンスを発揮し、
天才と称されるような人たちは、皆、どうやったら高みに到達できるかを考えながら学び、練習をしています。

マインドセットがすべてなのです。

GRIT(やり抜く力)を持っているか

近年、教育界では、GRIT(やり抜く力)というものが注目されています。

大きな成功を成し遂げている人、
天才的な結果を出している人、
最高のパフォーマンスを発揮している人、
これらの人に共通する要素としては、GRIT(やり抜く力)があります。

粘り強さと情熱からGRIT(やり抜く力)は構成されています。

天才と称されると、
いとも簡単に結果を出しているように見えますが、
実際にはGRIT(やり抜く力)が強いです。

人は、簡単に結果を出せるということや楽に成功することに憧れるので、
努力家や秀才よりも、天才を高く評価する傾向があります。

これが天才崇拝、天才バイアスなのですが、
苦労や努力せずに楽に結果を出したいという気持ちの表れですね。

そんな願望に反するかのように、
実際には最高のパフォーマンスを発揮している人の多くは、
粘り強くて努力家であり、自分が定めた目標や方向性に対する熱い情熱でもって進んでいるのが現実です。

あたり前のことですが、
自分が何を求めているか、
どうなりたいか、
どんな結果を出したいかをよく理解しています。

そのために、困難があっても、挫折しそうになっても、
やり抜いています。

この差の蓄積が大きいのです。

最後までやり抜くこと、
達成すること、
一つひとつ完了させること、
そうやって決めたことをやり抜いていくことでGRIT(やり抜く力)は高まっていきます。

投げ出しそうになった時ほど、意識したいことです。

天才の1万時間の法則

GRIT(やり抜く力)をもって、
継続的に学び、練習を繰り返していくこと。

天才の学びも、結局、突き詰めていくとこのようなことになっていきます。

マルコム・グラッドウェル『天才! 成功する人々の法則』(講談社、2009年)では、

1万時間の法則というものが紹介されていて、
世間でもよく知られていると思います。

天才は、その領域において、
1万時間を費やしているというものです。

1日3時間かけたとしても、約10年はかかります。

しかし、誤解されやすいのですが、
ただ1万時間かければよいというものではありません。

誰でも営業の仕事を1万時間すれば、天才的な結果を出せるかといえば、そうではないのが現実ですね。

ここでは、
よく考えられた練習
というものを1万時間継続する必要があるというものです。

ただの練習、ただの学習ではありません。

よく考えられた練習、です。

それは、
ストレッチ目標、適切なフィードバック、振り返りを含みます。

ストレッチ目標とは、自分に負荷がかかるような、ちょっと背伸びした目標です。
楽に達成できるような練習目標ではありません。
負荷をかけて、ギリギリのところに練習段階から挑むのですね。

1,500メートルを5分30秒で走る人がいた場合、
1,500メートルを6分で走ることを目標にして練習していても、これはよく考えられた練習とはなりません。
楽な練習は、天才の練習のうちにはいりません。
1,500メートルを5分20秒で走ろうという目標で練習するなど、負荷がかかる練習をしていきます。

そして、適切なフィードバックがあります。
実際の結果が何秒だったのか、結果のフィードバックを受けます。
結果の確認、コーチからのアドバイス、フィードバックは様々です。

そして、振り返りをします。
どこが良かったのか、課題は何か、次にどうするか。

これを継続していくのです。
1万時間。

1日3時間かけても10年かかるとお伝えしましたが、
こんなよく考えられた練習(ストレッチ目標、適切なフィードバック、振り返り)を1日3時間やっている人はほとんどいないでしょう。

天才はやっています。
だから結果が出るのです。

成れる会でも、練習の重要性をお伝えしていますが、
練習やトレーニングあるのみです。

まとめ

楽に結果を出したい、
簡単に成功したい、
そう思いたいので、人は天才に憧れるところがあります。

才能っていいな、と。
やっぱり才能がある人は結果が出るな、と。

しかし、
実際には天才の学習をしっかりみていくと、
マインドセットがすべてであったりします。

どうやったら伸びるか、どうやったら結果が出るか、どうやったら成長するか、どうやったら学びが効果的になるかを、常に考えています。

そして、GRIT(やり抜く力)が極めて高いです。

粘り強く努力しますし、継続しますし、情熱を持って打ち込みます。
自分が何を目指しているか、何を成し遂げたいか、何が大事かをわかっているので、それを追い求めるのですね。

それが、天才の1万時間につながっていきます。

ただ、楽な練習をしたり、楽な仕事を長い間やっていればよいというものではありません。

ストレッチ目標があり、負荷がかかる練習を行い、
結果を確認し、適切なフィードバックを受け、
振り返りを行います。

このよく考えられた練習を継続して、やり抜いていくのです。

学校の勉強も一緒です。
ストレッチ目標、結果の確認やフィードバック、振り返り(復習)を積み重ねていく人が伸びます。

一番良くないのは、自分には無理だとか、自分はダメだとか思うことです。

そんなメッセージを中学生にお伝えする機会がありましたが、
それは多くの大人にも届けたいメッセージでもあります。

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